増留貴朗君に発言を許可いたします。
[増留貴朗君登壇](拍手)
3 ◯増留貴朗君 おはようございます。
平成十七年第二回定例会に際し、一般質問をいたします。
まず、
建築関連技能士の育成と活用について質問します。
私は、これまでにも、技能士の活用を
本県建築行政の運用の中で生かしていただきたいと訴え続けてきました。県では十七年度から、
建築工事指名競争入札参加等の指名基準に関する要綱の一部改正を行い、
入札参加資格格付区分の
建設工事標準金額も引き下げられました。そのような中、品確法などを視野に入れ、業界では建築工事における
一級技能士の活用を拡大してほしいとの声が高まっており、その改正があってもよいのではと思っております。
すなわち、公共工事のあり方が問われている昨今、
一級技能士の
現場常駐制度、技能士の優先活用を図るため、所管する
建築工事等のうち一定規模以上のものについて、請負業者が
一級技能士などの
技能検定合格者を現場に常駐させ、その技能士にみずから作業をさせるとともに、他の技能者の作業指導を行わせる制度の見直しを積極的に推し進めるべきだと思います。
熊本県では、
県専門工事業団体協議会の要請を受け、建築物の面積要件を設けず、すべての工事を対象とし、作業中に技能士が常駐することとしております。対象は二十三種、二十七作業です。また、佐賀県は十六年四月から、
公共建築工事における
一般技能士の活用を推進するため、これまでの運用方針を一部改正し、工事規模を延べ床面積五百平米以上に拡大、十六職種に大幅拡充し、未適用の九業種に関しては技能者の合格状況等を見ながら勘案し、対策を講じていきたいとしています。
本県もそれなりの対応はしていると認識をしていますが、
県技能士会連合会と
県職業能力協会は連名で毎年、
一級技能士現場常駐制度の導入についての申し入れを行っていると聞いております。その申し入れの詳細について、また県の現行の制度の運用はどうなっているのか、さらに
一級技能士現場常駐制度を基本的にどのように考えているのか、土木部長に伺います。
林務水産部長、県は、森林・林業の活性化、木材産業の失地回復、
木材需要拡大のための
切り札的施策として
地材地建キャンペーンを展開しています。私も林材人としてあらゆる機会、あらゆる場所で地材地建のPRをするように心がけています。その過程から強く感じているのは、先ほどから話題にしている技能士、特に木造住宅では大工を初めとする職人と呼ばれる人たちに県が進める地材地建の内容を理解してもらい、協力してもらうことが絶対に必要だということです。
これらの技能士はみずから工務店を経営し、公共の仕事を請け負っている人もいますが、町屋仕事という民間の住宅、民家を専門とする人には、県とか市は建築確認の許可を取るためのつき合いでしかありません。しかしながらこの人たちが最も、自分の家を、自分の住宅をつくりたいと考えているユーザーと接して、住宅建設の情報を持っております。残念ながら、この大工、工務店に
地材地建キャンペーンはまだ完全に行き届いていません。川上から川下まで、ユーザーまでの体制づくりをいま一度点検し、強化すべきであろうと思います。
林務水産部長の見解を伺います。
そして、何よりも声を大にして言いたいことは、大工を初めとする
建築関連技能士の育成についてであります。この取り組みについて
商工観光労働部長にお伺いをします。
さらに、民間住宅を含め、木造住宅の建設推進には土木部の協力が不可欠であります。改めて土木部長の答弁もいただきたいと思います。
次に、
教科書採択についてであります。
本年、西暦二〇〇五年、平成十七年は我が国にとって日露戦争の勝利から百年目、さきの大戦、大東亜戦争いわゆる太平洋戦争の敗戦から六十年目という節目の年であります。そして、現在、我が国は
国連安全保障理事会の常任理事国になるための運動を活発に展開をしています。
このことに反応するかのように、この四月中国各地で反日デモが起こりました。このデモは中国政府の容認のもとで行われ、日本の
安保理常任理事国入り反対の意思表示を民衆のデモという形であらわし、現地の日本企業の建物、さらには日本大使館までもが破壊をされました。襲撃をされました。そのことが当初の予想よりも大きな国際社会の不評を買ったため、大急ぎで急速、中国政府が鎮圧に回ったというのが真相であろうと言われております。
昨日の夕方、報道を聞きましてびっくりしました。中国大連での日本人学校の副読本の取り扱いの問題です。私どもの常識では、日本人の子弟が外国で日本人の学校で勉強する。当然日本流の、その当該の国のいわゆる教え方でいいものであろうと、当然のことだと思っていたんですが、そうではなかったようです。詳しくは申し上げませんけれども、大変意外な感じを受けております。
韓国との問題にしても、竹島問題が噴き出し、靖国問題、教科書、そしてそれらを包含した日本と韓国の歴史認識問題が大きく立ちはだかっていることになります。このことをもう一回私ども日本国民はしっかりと認識をし、勉強をしなければいけないと思います。
北朝鮮との関係は、これらの国よりも、拉致問題、核開発問題などがあり、
軍事的リスクを考えるというとさらに困難で危険であります。
東アジアでの現在の国際関係を地政学的に、さらにその上に過去の歴史の事象を重ねた日本を取り巻く今の
国際政治力学、それは、開国をし、明治維新をなし遂げ、我が国が初めて近世の国家社会に踏み出した十九世紀末、わずか百年余り前の環境と基本的に変わってないように思えます。特に東アジアの長い歴史の政治的体質、政治的文化とも言うべき冊封体制の根っこは今でもしっかりつながっているととらえるべきだと思います。
さらに、衝撃を受けたのは反日デモの参加者、「愛国無罪」と叫びながら、日本を敵視して傍若無人の行動をとる反日教育で育った中国の「江沢民の子」とも言われる中国青年です。
私はここ二十年間中国に行っておりませんが、昭和五十七年
九州議長会の中国訪問団として県議会から武先生のお父さん、武恭彦先生と二週間ほど行ってまいりました。文化革命が済んだ直後でありました。二週間、通訳の九州大学を卒業された鄭という中国外務省の通訳の方と、中国共産党について、中国について、中国の歴史について毎日のように話をしてまいりました。九州大学を卒業された方でありましたので、文化大革命では地方に下放になってようやく帰ってきたということでありましたが、今みたいな中国の空気ではありませんでした。
上海の、当時江沢民が委員長をしていた上海市の
人民委員会にも参りましたし、南京市にも参りました。南京の第十重点中学校に参りましたときに、校長室の上に「
思想工作所」という札が立っておりました。学校との会話の中で、校長先生は中国共産党の党人であり、しっかりと中国共産党のことを教えるそういう人でなければいけないということで、
思想工作所と書いてあるんですかということから始まりまして、中国のいろんな教育の話をいたしました。日本に対しての話も聞きました。突っ込んで話をしました。
そのときから南京の虐殺の話を、実は私も鹿児島の四十五連隊という連隊、しかも私のおやじたちが行って、虐殺をされたと言われておりますが、そういうことはしなかったと言っておりますということから話をしました。いろんなことを言いました。第六師団団長の
谷寿夫師団長、百人切りの鹿児島の野田毅、あるいは向井敏明、四十五連隊の第二中隊長の田中軍吉、これは全部冤罪ですということも話をしました。
そのときの校長先生は、「
日中国交回復をしたんだからもうそんな話はなしにしましょうよ。日本と中国は一衣帯水ではないですか。小異を捨てて大同につくということだったんだから、それはもうなしにしてこれからの将来、一生懸命にお互い仲よくしましょう」というそういう話を現実にしてきました。上海では黄甫公園で若い青年の皆さん方と、日本へ行きたい、日本でぜひ勉強をしたいというたくさんの青年たちと話をしてきました。
それが今回のあの反日デモを見て、教育の効果というものはこんなに怖いものかということを実は実感をしております。教育の効果をあらかじめ予測し、偏った情報だけで特定の歴史教育を子供たちにすり込んだらどうなるのか。皆さん方にも御記憶があると思いますが、以前テレビで放映をされた
東ヨーロッパ、ルーマニアの
チャウシェスク政権下の親衛隊や秘密警察を構成したと言われる「
チャウシェスクの子」という報道も思い出しました。
同じような例を挙げるなら、先ほど申し上げた中国の
文化革命時代の紅小兵、あるいはカンボジアのポルポトの手先として大変な虐殺事件を起こした青年たち、教育の怖さ、難しさを改めて考えます。
しかし、人間に教育は絶対に不可欠な行為です。厳しい生存競争を繰り広げる国際社会の中でたくましく生き抜く日本国民をしっかりと育てるのは、国家の責務です。国民教育すなわち義務教育であります。そのためにはどのような教育を国は用意をすればいいのか。そしてそのための手段としてどのような教科書を使用すればいいのか。それを決める四年に一回の
小・中学校義務教育課程の
教科書採択手続が現在、県教委の指導のもと県下十二の採択地域で調査研究などの事務手続が進んでおります。
そこで、まず知事にお尋ねします。
一つ、知事、あなたが歴史を学ぶときの基本的な考え方、学んでこられた基本的な態度を明らかにしてください。
二つ目、我が国の歴史で
世界史的観点から見たとき特筆すべき点についてどのようにお考えか、あなたの考えを教えてください。
三つ目、自分の国の歴史をあなた自身があなたの子供さんに教えるとき、どんなことに気配りをされましたか。
四つ目、知事は就任してから、鹿児島の教育のあり方で県教委と意見交換をしていると思います。
マニフェストにもありました。そのやりとりの中で歴史教育について話題にしておられること、もし自分の希望を述べておられるならそれを明らかにしていただきたいと思います。
五番目、義務教育で愛国心、国を愛する心を学校で教えるべきだと思いますが、このことについて知事の考えを明らかにしてください。
福元教育長に伺います。
教科書の採択事務が静ひつな環境のもとで粛々と進んでいるようです。そういう意味では、きょうここからあなたに激しい質問をするのはちょっと気が引けるところもあります。しかし、あえて言わせていただきます。
現在、調査研究に当たって、県下の
教育関係者の皆さんが大変な御苦労をされておられます。その御苦労にも敬意を表したいと思います。
今回、文科省の資料から見ますというと、今回の採択事務では、一つ、調査研究の時間を確保したい。四年前の前回は八月十五日が締め切りでありましたが、これが三十日まで半月ほど延びました。二つ、選定資料が各採択権者のより参考となるよう内容の一層の工夫・充実を図ること。これは特に
都道府県教育委員会に対して言われていることであります。三つ目、保護者の参画をより一層促進すること。
採択協議会に保護者の代表をまだたくさん加えてもよろしいということです。四番目、採択結果や理由等の情報の積極的な公表に努める。そういったことについて通知がなされているようですが、これらについて、四年前の平成十三年からどのようなところが変わったのか、どのような対策がなされたのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
前回、平成十三年八月十六日、
県教育委員会は
教科書採択の結果についてこう発表しています。
社会科の歴史及び公民の教科書の採択状況ですが、東京書籍が六地区、教育出版が六地区となっており、本県においては扶桑社の採択はありませんでした。主な採択理由としましては、基礎・基本の確実な定着、みずから学びみずから考える「生きる力」の育成など、新
学習指導要領の全体の趣旨を踏まえ、例えば、学び方や考え方を習得するための問題解決的な学習への工夫が見られる。調べ学習、体験的な学習への工夫が見られる。
ディベート学習を提起することにより、意欲的に学ぶことや考えることへの配慮や工夫がなされている。及び系統的な学習のための内容の精選と基礎的・基本的内容の習得への配慮がなされている。これを踏まえて採択をしておりますということでありました。
そして、直接県教委が採択権者になります県立盲・聾・養護学校のその
教科書採択については、交流学習や体験学習があるとの理由で採択地区と同じ教科書を使用している。
先ほど申し上げたように、県教委は、これらの学校の教科書の採択についてはみずからが採択権者であって、その採択を、県下の
市町村教育委員会を指揮する立場にあるわけです。私はこの採択のあり方は、議事録を見せていただきましたけれども、各地区の
採択協議会に逆に引きずられているように思えるんですが、県教委はどのような観点、独自性を持って盲・聾・養護学校の中学部の
歴史教科書の採択をしたのか、教育長の答弁を求めたいと思います。
[
知事伊藤祐一郎登壇]
4 ◯知事(伊藤祐一郎君) 歴史教育のあり方等についてのお尋ねがありました。
歴史を学ぶ意義についてでありますが、単に過去の出来事を知るだけではなく、現在の自分たちの生活や国家・社会の発展の基盤がどこにあるかを考えたり、過去の出来事を現在及び将来の発展に生かすことを考えたりすることだと考えております。歴史を学ぶときには、「過去に無知な者は未来から見放される運命にある」という教訓をいつも頭に入れているところでもあります。
歴史上の特徴についてのお話がございました。
いろんな視点があると思いますが、その一つといたしまして、我が国は古代から近世に至るまで、大陸の制度や文化をたくみに取り入れ、国家の仕組みを整えますとともに、例えば平安時代における仮名文字の成立のように、日本の風土や生活に根差した豊かで洗練された文化をはぐくんできております。また、明治維新以降は、欧米の文化を取り入れながら急速に近代化を進め、複雑な国際情勢の中で独立を保ち、政府や国民の努力によって短時間において近代国家の基礎を整えてきたところでもあります。
このように、我が国はみずからの伝統や文化を大切にしつつ、外国の文化を柔軟に取り入れますとともに、特に江戸時代における藩校やまた明治時代以降の
義務教育制度の普及など、人材育成に熱心に取り組んできたこと、さらには勤勉な国民性などに支えられて、国際的にも重要な地位を占める国家に発展してきたと考えております。
子供に歴史をどういう形で教えるかというお尋ねがありました。
子供に対しましては、先人たちの多様な人間の多様な生きざまが事実として積み重なり、それが時々の時代の流れとなることによって歴史になるという意味で、社会の発展の必然的な流れを中心に教えてきたつもりであります。
鹿児島の歴史教育のあり方についてのお尋ねがありました。
教育は、将来の社会を担う人材を育成するという、国、地方を通じて取り組むべき最も重要なテーマであり、教育全般について教育委員と意見を交換してきたところであります。
歴史教育につきましては、郷土に対する深い愛情と理解を育てる教育を積極的に推進いたしまして、一人一人の個性を大切にしながら、ふるさとを愛し、世界に通ずる人づくりを進めることが重要であり、誇りを持ってふるさとの先人たちの業績を子供たちに伝えたいと考えております。
愛国心についてのお尋ねがございました。
国際化が進展し、外国が身近な存在となる中で、みずからの国や地域の伝統、文化についての理解を深め、尊重し、郷土や国を愛する心をはぐくむことは、あえて愛国心として特記することではなく、豊かな人間性や社会性、国際社会に生きる人間としての自覚を育成する観点から極めて大事なことであると考えております。
5 ◯土木部長(加藤憲一君)
建築関連技能士の活用についてでございますが、建築工事における
一級技能士現場常駐制度につきましては、関連する二十八の職種のうち、工事規模、
工事種別等に応じて、大工、左官など九から二十一の職種を選定して義務づけているところでございます。
県といたしましては、本制度が品質の向上のみならず技能者の育成を図る観点からも重要であると考えていることや、本年四月に施行された公共工事の品質確保の促進に関する法律、いわゆる品確法においても公共工事の品質確保の促進を求められていますことから、今後、他県の動向を踏まえながら、適用する規模や職種の拡大など、制度の見直しを検討してまいりたいと考えております。
地材地建の推進につきましては、土木部としても、
認証かごしま材を使用した
木造公営住宅の建設や、
かごしま材の
家性能保証支援制度による普及促進を図るとともに、
県木造住宅推進協議会を通じて、工業高校生を対象とした
建築現場見学会や
かごしま木造住宅コンテストの実施など、住宅建築の担い手である大工などの技能者の育成に取り組んでいるところでございます。
今後とも、
林務水産部、
商工観光労働部と十分に連携を図りながら、その推進に努めてまいりたいと考えております。
6
◯林務水産部長(諏訪弘美君) 地材地建の推進につきましては、これまで、木材団体や
住宅建設団体等で構成する
県木材利用推進運動協議会及び
県木造住宅推進協議会の活動などを通じて、消費者や
木材関係者、工務店、大工など、木造住宅に関係する方々への普及定着に努めてきております。
地材地建をより幅広くかつ効果的に推進するためには、地域で活動する技能士の方々の
住宅建設情報が重要でありますことから、
県技能士会連合会も参画した新たな組織として
地材地建普及推進協議会─仮称でございますが─これを本年八月ごろを目途に立ち上げたいと考えており、今後、関係団体との協議を進めてまいりたいと考えております。
7
◯商工観光労働部長(原田耕藏君)
建築関連技能士の育成につきましては、
県立宮之城高等技術専門校及び民間の三
認定職業訓練校におきまして訓練に当たっておりまして、平成十六年度は八十五人が訓練を受けております。また、二十三歳未満の
青年技能者の技能五輪への参加や技能検定の推進などによりまして、優秀な技能士の育成に努めているところでございます。その結果、資格取得に対する関心も高まっておりまして、
建築関連職種の
一級技能士は年々増加傾向にございます。
今後とも、本県産業を支える技能士の育成と技能の尊重される
社会づくりに努めてまいりたいと考えております。
8 ◯教育長(福元 紘君) 教科書の採択事務の改善につきましては、県教委では平成十三年度に採択のための基準や観点を大幅に見直し、その改善に努めてきております。本年度の調査研究につきましても、日程を二回に分けることで一教科に対する吟味の時間を十分に確保しながら、参考資料を作成したところでございます。
各市町村教委に対しまして、
指導主事等会議等を通じまして、調査研究の期間を延長したり、巡回展示の期間を長くするよう指導しますとともに、地区の選定委員への保護者の参画を促しております。また、採択の方法について、開かれた採択の観点から、採択の手続を明確にするとともに、採択後は情報開示に努めるようあわせて指導しております。この結果、すべての
採択地区協議会で巡回展示の期間が延びたり、保護者の参画が図られております。さらに、情報開示についても、積極的に公開され、より適正かつ公正な採択が行われるようになってきております。
盲・聾・養護学校の教科書の採択に当たりまして、県教委では、
学習指導要領に示されている基礎的・基本的な内容の確実な定着、体験的な学習や問題解決的な学習の重視、生徒の興味・関心を生かした自主的・自発的な学習の促進等のさまざまな観点から、調査研究を行っております。
これに加えまして、各盲・聾・養護学校からの採択希望及びその理由、同一地域内の小・中学校との交流学習の状況、生徒の障害の状態や特性と教科書の特徴との関連などを総合的に勘案しまして、県教委での十分な検討を経て、
採択教科書を決定いたしております。
[増留貴朗君登壇]
9 ◯増留貴朗君 まず、
建築技能士の育成とその活用についてでありますが、お三方の部長さん御答弁ありがとうございました。
単にこの
建築技能士の活用は建築産業だけにとどまらず、木材製品を媒体として本県の森林・林業の活性化はもとより、手に職を持つ物づくりの職業人の育成、また産業教育など、雇用を含めてはかり知れない私は事業であると思っています。
地材地建の核に国、県、市、町村、そして設計を含めた建築業界、さらには宅地・建物業界、金融業界などを系統化する新しい試み、先ほど
林務水産部長の方から、
技能士連合会を加えた新しい組織ということでございましたが、さらにこれをもう一つ広げてもいいのではないかと思います。
商工観光労働部等とまた話し合いをしていただきながら、よろしくひとつ施策を体系化していただきますようにお願いをいたしておきます。
知事の歴史認識は少しだけわかったような気がします。実は突っ込んで今、この時期に知事に伺いたいとは思っておりませんでした。ただ、知事が就任されて一年たちましたので、
マニフェストにも「教育問題は私の一番大切な人づくりの、ふるさとづくりの柱である」ということでございましたので申し上げました。
コメントを申し上げるというと、「愛国心を特記することなく」という表現に引っかかっております。愛国心という言葉を使うというと、何か特殊なことを考えている人間、特殊なことをするような人間に受け取られる今の風潮、これがそもそも私はおかしいと思っています。自分たちの生まれ育ったふるさとを含めて素直に国を愛しましょうや、これがなぜ定着をしないのか。
あの日露戦争の仲介をしてもらったポーツマスでのルーズベルト大統領、大きい方のルーズベルト、セオドアという名前になりますか、あの大統領が、なぜ日本という国はあの小国でありながらロシアに勝てたんだ、そして、日幾ばくもない日本の兵士たちがなぜあのように戦えたんだということを聞き、その理由として、一つの国にまとまるというのはどういうことだったのかということで、小村寿太郎あるいはそれを支えた金子、ちょっと下の名前は忘れましたが、金子という日本のルーズベルト大統領と親しい方に聞いたそうです。その日本からの答えは、長い歴史の中での日本の国柄、すなわち天皇制を中心とする日本人のまとまりというものでありましょうということだったそうです。
そのことを聞いて、アメリカという国は多民族の国家、新しい国家、歴史は日本ほどない。何で国民を一つにまとめるか。自分の家族ともいろいろと議論をし、結果として出てきたのがアメリカ国旗、星条旗のもとにまとまるということで、アメリカという国は自分たちの国を、自分たちの国の国柄をアメリカの国旗に託すようになった。そう伝えられております。
そのこと一つを考えてみても、私は日本人がこれまでの歴史の中で陰もありひなたもあり、いろいろやってきました。先人を学ぶというときに愛国心という言葉を特別に使ったという意識がなくなるような日本であってほしい。そのことを思います。ぜひひとつまたそのことについてお話を伺いたいものだと思います。
教育長、時間がありませんのでどこまで詰めることができるか、場合によっては文教委員会の方へお願いをしなければいけないと思うんですが、実は採択地域の、十二の採択地域の採択を決定をする最後の協議会の会議録を取り寄せてみたいと思いました。学校教育課を通じてお願いしたいということで申し上げました。そういうものはまだ私どもの手元にありません。努力をしてみますということでありました。それでは、東京書籍三地区、文教出版三地区、十二のうちの半分ずつでいいからそろえていただきたいということで御協力をいただきました。鹿児島市は私自身が出かけていきまして、二千百円分のコピー料を払って全部コピーをして調べてきました。
これを読んで、わからんのです。わからんというのは、まず第一に、県の教科図書審議会がつくられた参考資料のどの教科書はどういったぐあいに書かれておりますというものが、実はどれが一番いいと思ったり、あるいはどれが特徴があると書いてあるのかということはほとんど読み取れない。私の知り合いの何人かの地区
採択協議会に出席をされた採択委員をされた方々にも会って、あなた方は一体どういうことをやったんだ、どういったことで自分はこの教科書がいいということを決めたんですかということを聞いたんですが、ほとんどの採択教育委員、そして市町村の教育委員は「全部を読み通すことは不可能でしょう」。
実際にやってみて本当に思いました。社会科だけではありません。小学校、中学校、すべての教科のもの、そして十社ないし多いものは十二社の本があるわけですから、それを全部読んで、それを点検をして、そしてそれを教育的な経験法則に基づいてどれにしましょうとなったときに、とてもではありませんが、市町村の教育委員に採択権はあるんだから、教育委員会に採択権はあるんだからあなた方独自で判断をしなさいというのは、これは正直言って至難のわざだということを自分でやってみて思いました。
しかし、少なくとも、つくられた公式のこの資料は、先ほど情報公開を一生懸命に進めてきましたとこう言われたんですが、我々素人の県民でも判断ができるようなものでなければいけないと、こう思っています。観点が十あり、そしてそれにそれぞれの教科書会社の評価が書いてあるんですが、どれを特徴にして挙げて皆さんにわかっていただけるのか、これはもう資料を見てもわからないわけでございますので、言葉ではちょっと言いあらわせません。
ほとんど頭の方は、教科の目標、各学年の目標は正しく取り入れており、
学習指導要領の趣旨が生かされている。これは全部です。内容の記述は正確かつ公正であり、多面的・総合的な面からの配慮がなされている。これも全部です。内容は厳選され、基礎的・基本的な内容が記述されている。こういうことは全部の教科書に書いてあるんですね。それを言ってみますというと、「いえ、教科書の検定は文科省がいたしております。文科省がしっかりと検定作業をし、検定を通した本として来ておりますので、私どもはそれについて何も文句を言う権限はありません」と、こうおっしゃるんですね。
それじゃその中から一冊を一体どういうぐあいにして選べばいいのということであるんですが、各
採択協議会の参考資料、これも全く県の参考資料に同じようなことが書いてある。
そして、先ほどの鹿児島県立の養護学校の採択の平成十三年第五回
県教育委員会、八月十日に開かれた議事録では、教育長の説明がありまして、教育委員の発言があります。名前は伏せます。
委員、「地域の小・中学校との交流も考慮して、その地区の教科書と同じものを採択するということですが、各地区の採択結果は八月十五日まではオープンにしないということではありませんでしたか。地区で決まった後であれば問題はないと思いますが」、教育長、「十五日までオープンにしないというのは混乱を避けるためで、実際の手続はすべて終了しています」、学校教育課長、「八月六日までに各市町村の教科書の需要数の報告を受けております」、委員、「わかりました」。
また別の委員、「盲・聾・養護学校以外の特殊学級の
教科書採択はどうなっていますか」、学校教育課長、「市町村が採択権者ですが、恐らく地区と同じものを採択すると思います。場合によっては実態に即した文科省著作教科書を採択することもあります。これは特別な養護学校への教科書のことでございます」。
また別な委員、「学校から扶桑社の教科書をという声はありませんでしたか」、学校教育課長、「盲・聾・養護学校については扶桑社の本をという声はありませんでした。小・中学校については把握しておりません」。
別な委員、「個人的には中学校については扶桑社の教科書は中身が充実しているという感想は持っていたので、採択される地区もあるのではないかと思っていました」、扶桑社以外の会社の
歴史教科書で鹿児島県出身の有名な人物が載っていなかったり、全くなじみのない人物が載っていたりして、中学校で教えるのにふさわしいのか疑問に思うこともあり、そのようなところも今後は見直す必要があるのではないかと思います。「
歴史教科書の見直しは何割ぐらい行っていますか」、「十二地区のうち半分以上の七地区で見直しを行っております」、「盲・聾・養護学校の教科書についてはきちんと手続を踏み、学校の意見も聞いて、子供たちの実態に合ったものを選んだ方がいいと思います」。
「ほかに御意見ございませんか」、「ございません」。委員長、「今回の
教科書採択については、
歴史教科書をきっかけとしていろんな議論を呼んだところですが、このように多くの人が関心を持ち、議論されたことはよい方向にあるものと思います。それでは、議案第二号は原案どおり決定してよろしいですか」、全員異議なし「議案第二号は原案のとおり決定されました」。これが議事録です。
僕はこれが違法であるとかそういう意味で言っているんじゃないんですよ。僕は申し上げたいのは、教育委員の中でも、五人おられるわけですが、少なくとも二対三で意見が分かれたなと思っているわけですね。そういう採択地域が恐らく十二の地域の中ではあったのではないかと思うんですが、そのことを実は調べるすべがない。県教委そのものに質問をしても、「それは全然やっていません。資料がありません」。
結果として、私どもは情報公開という制度の中でどういうぐあいにして採択をされたかを知らなければならないんですけれども、私が今回の質問に合わせてやってみましたけれども、大変に残念に思っておりますし、失策をしたなと思っています。先ほど申し上げたように、静ひつな環境の中で行われる採択事務の段階でこういうことを本当は言うべきではなかったと思っております。早い段階で、十三年度が終わった段階で採択手続がどうであったかを議会でしっかりと議論をすべきであった。このことをやらなかった私は自分が今は悔しくてなりません。
東京都の資料を取り寄せてみました。鹿児島とは全然違います。東京都の資料はしっかりと実はできています。数表化されています。だれでもわかるようになっています。
歴史上の人物を取り上げている箇所は何カ所あるか。原始、古代、中世、近世、近現代、そしてこれを各書店別、各教科書ごとに点数をつけて合計点を出します。現在に伝わる文化遺産を取り上げている箇所数は幾らあるか。同様に原始、古代、中世、近世、近現代、合計。国際関係、文化交流を取り上げている箇所数は幾つであるか。他民族の生活等を取り上げている箇所数は幾つあるか。東京に関する歴史事象、身近な地域の歴史を取り上げている箇所数が幾らあるか。人権に関する課題を取り上げている箇所数は幾らあるか。すべてが数値化されておりまして、そしてこれについて調査の結果として寸評が書いてあります。どこどこの教科書は何について特徴がある。ここの教科書は人権に対して、ここの教科書は歴史的人物に対して、そういったものが東京のこの参考資料からは読み取ることができるんです。
ところが、鹿児島県のものからは全然取り上げることができない。そしてもう一つ申し上げますというと、
学習指導要領の該当項目に、国家・社会及び文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在に伝わる文化遺産をその時代や地域との関連において理解させ、尊敬する態度を育てる。目標二、国家・社会及び文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物に対する生徒の興味・関心を育てる指導に努めるとともに、それぞれの人物が果たした役割や生き方などについて時代的背景と関連づけて考察させるようにする。そして、これを詳しく取り上げている人物ということで調べてみますというと、いろんなことが出てきます。
鹿児島県で使っております東京書籍一人、竹崎季長という方です。もう一つの教育出版四名、浅川巧、阿弖流為、杉原千畝、長屋王。そしてほかには東京書籍は、アテルイ、石井十次、岸田俊子、シャクシャイン、尚泰、柳宋悦、李参平、李舜臣の八人。教育出版は、浅川巧、阿弖流為、安重根、これは何と読むんでしょうか、姜〓、シャクシャイン、知里幸恵、李舜臣。こういうことで、今使っているやつですよ。そして登場しない。小学校で四十二名、ぜひ
歴史教科書等で教えてほしいという人物が文科省の中で挙がっているわけですが、東京書籍は、登場しない人物は、行基、北条時宗、勝海舟、明治天皇、陸奥宗光、小村寿太郎、東郷平八郎、野口英世、教科書には一切挙がっていない。教育出版は、陸奥宗光、小村寿太郎が挙がっておりません。非常にバランスがおかしいと実は評価がされている本です。
ですから、これがいいとか悪いとかと言っているんじゃないんですよ。こういうことが一般の県民にもわかるような参考資料というのはできないかということなんです。そのことをどうお考えなのか。先ほど十三年度に大幅な改善をしたということですが、今申し上げたようにぜひひとつ、本県教育の基本になることでございますので、先ほど知事が申されましたようにぜひひとつお願いをしたいと思います。
それからもう一つ、非常に残念なことがありました。これも外部からの指摘で僕は直接会議の中で赤恥をかいたんですが、教科書の見本本の展示会、これの県教委のホームページが実は昨年の平成十六年度に小・中学校で使用する教科書の見本本を県内十七の会場で展示していますので手にしてくださいということで、十六年度のままが実はきのうまで出ていたんですよ。僕はきのうやかましく言って、すぐ変えろということで、きょうは「申しわけありません。十七年度のものに変更をしました」という通知を受けましたけれども。
どうも県教委が、先ほどから申しておりますように、指導、助言、援助をするということになっていることによって、直接の採択権は地区
採択協議会がするということで何か手抜きをしているのではないかな、そう思えてなりません。教育長の御答弁をいただきたいと思います。
10 ◯教育長(福元 紘君) 県教委といたしましては、採択のための参考資料は各教科書の特色がわかりやすいものであるということに心がけていくべきであると考えております。そこで、本県の参考資料におきましても、各教科書に掲載されている教材数などを適宜示しております。御指摘のございました東京都の教育委員会は、ホームページ上で教科書会社ごとに掲載されている教材を項目ごとに分類いたしまして、その掲載箇所数を示したデータを公表しております。点数化されたというものではないと理解しております。
これらのデータにつきましては、教科書会社がみずからの教科書の特徴を掲載した趣意書におおむね示されておりますので、県教委ではホームページ上の趣意書を活用するよう各地区に指導しているところでございます。
また、御指摘のございました、私どもがホームページに載せた日付の点につきましては早速訂正いたしましたので、申しわけなかったと思っております。